この記事でわかること

  • 転職エージェントの仕組みと、求職者が払う費用の決まり
  • 相談する前に、自分で決めておくこと
  • 公的なサイトで、エージェントの許可と就職の実績を確かめる方法
  • 面談と、紹介された求人で確かめること
  • 気をつけたい誘いと、困ったときの相談先

未経験からITエンジニアを目指すときに、転職エージェントに相談するかどうかで迷う人は多いと思います。この記事では、エージェントを選ぶ前に知っておきたい仕組みと、相談の前後に確かめることを、職業安定法と厚生労働省の案内で確かめた内容としてまとめます。

この記事では、転職エージェントの会社名は書きません。会社ごとのサービスの内容は変わるため、相談する前に各社の公式の案内で確かめてください。転職までの学習の進め方は未経験からPythonで転職するまでの進め方、サービスの種類の違いは20代未経験者向けIT転職サービス比較で紹介しています。

転職エージェントの仕組み

転職エージェントが行っていることは、法律では「職業紹介」と呼ばれます。職業安定法では、職業紹介は、求人と求職の申込みを受けて、求人を出す会社と仕事を探す人の間で、雇用の関係が成り立つようにあっせんすることと定められています。

民間の会社が手数料を受けて職業紹介を行うには、厚生労働大臣の許可が要ります。

費用の決まりは、求職者にとって大切な点です。職業安定法では、有料の職業紹介事業者は、原則として求職者から手数料を取ってはならないとされています。手数料は、求人を出す会社が払う仕組みです。例外は、省令で定める場合に限られます。

ハローワーク(公共職業安定所)も、職業紹介を行っています。職業安定法では、ハローワークは無料で公共に奉仕する機関とされています。

手数料を払うのが求人を出す会社だという点は、相談先を選ぶときにも覚えておきます。紹介される求人は、そのエージェントが扱っている求人の中から選ばれます。

相談の前に自分で決めること

エージェントに相談する前に、次の3つを自分で決めておくと、面談で話がずれにくくなります。

  • 目指す仕事: 開発・インフラ・テストなど、ITエンジニアの仕事は1種類ではありません。興味のある仕事を1つか2つに絞ります
  • 今の学習の状態: 何をどこまで学んだか、作ったものがあるかを、短く説明できるようにします
  • 相談したいこと: 求人を紹介してほしいのか、学習の進め方から相談したいのかを決めます

エージェントに相談する時期の判断

エージェントが紹介するのは求人です。学習がまだ始まっていない段階なら、先に学び方を決める方が近道のこともあります。作ったものを説明できるようになってから相談すると、紹介される求人と自分の準備を比べやすくなります。学習の順番と応募の前に作っておくものは、未経験からPythonで転職するまでの進め方にまとめています。

公的なサイトでエージェントを確かめる

厚生労働省は「人材サービス総合サイト」を運営しています。人材サービス総合サイトでは、職業紹介事業者を検索して、許可を受けた事業者として載っているかを確かめられます。

厚生労働省の求職者向けの案内では、人材サービス総合サイトで次のような事項を確認できると説明されています。

見る項目 見方
許可の有無 載っているか
就職者の数 紹介で就職
早い離職の数 参考の1つ
手数料 説明と同じか
返戻金制度 有無と内容
得意な分野 任意の掲載

表の「早い離職の数」は、紹介で就職した人のうち、6か月以内に離職した人の数です。返戻金制度は、短期間で離職した場合に手数料を返金する制度で、その有無や内容が載ります。得意とする分野は、事業者が任意で載せるものです。

早期に離職した人の数について、厚生労働省の案内は、職種や業界によって事情も異なるため、参考情報の1つとして確認するように書いています。数だけで良し悪しを決めず、未経験の人が多い職種かどうかも合わせて見ます。

職業安定法では、有料の職業紹介事業者は、紹介で就職した人の数や手数料に関する事項などの情報を提供しなければならないとされています。この情報が見つからない事業者は、面談で理由を聞きます。

面談の前に確かめること

職業安定法では、有料の職業紹介事業者は、取り扱う職種の範囲や手数料に関する事項、苦情の処理に関する事項などを、求職者に明示しなければならないとされています。

この決まりで明示されることに加えて、未経験からの転職では、次の点を面談の前に書き出しておき、その場で確かめます。

  • 未経験の求人を扱っているか: 経験者向けの求人が中心のエージェントもあります。未経験から応募できる求人がどのくらいあるかを聞きます
  • 入社後の研修: 研修があるかは、紹介される会社ごとに違います。求人ごとに、研修の有無と内容を確かめます
  • 相談の回数と連絡の方法: 面談の回数や、連絡の手段と時間帯を先に決めておくと、続けやすくなります
  • 個人情報の使い方: 職業安定法では、職業紹介事業者は、求職者の個人情報を、業務の目的の達成に必要な範囲で、目的を明らかにして集めなければならないとされています。経歴をどの会社に伝えるかを、応募の前に確かめます

答えがあいまいなままなら、その場で決めずに持ち帰ります。複数のエージェントに相談して、説明を比べる方法もあります。

紹介された求人で確かめること

求人を紹介されたら、仕事の内容と条件を確かめます。

厚生労働省の案内では、職業紹介事業者は、原則として求職者と最初に接触する時点までに、書面の交付、ファクシミリ、電子メール等の方法で、労働条件を明示しなければならないと説明されています。明示する事項には、次のようなものがあります。

  • 従事する業務の内容
  • 労働契約の期間と、試みの使用期間
  • 就業の場所
  • 始業と終業の時刻、所定の時間を超える労働の有無、休憩時間と休日
  • 賃金の額
  • 健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険の適用

未経験の求人では、仕事の内容の欄を特に確かめます。入社後に何をするのか、研修の後にどの仕事に就くのかが、書かれた内容と面談の説明で同じかを見ます。

職業安定法では、契約を結ぶときに、最初に明示した仕事の内容や条件を変える場合は、変える内容を明示しなければならないとされています。内定の後に条件が変わったら、どこが変わったのかを書面で確かめます。

気をつけたい誘い

厚生労働省の案内では、職業紹介事業者は、社会通念上相当と認められる程度を超えて、求職者に金銭等を提供してはならないとされています。登録や求職の申込みの見返りとして、高い額のお祝い金を約束された場合は、ほかの説明と合わせて慎重に考えます。

また、職業紹介事業者は、自らの紹介で就職した人(無期雇用契約に限ります)に、就職の日から2年間、転職を勧めてはならないとされています。就職した後に、紹介したエージェントから転職を勧められたら、この決まりを思い出します。

困ったときの相談先

エージェントの説明や対応で困ったときは、事業所の所在地の都道府県労働局が問い合わせ先です。厚生労働省の案内では、職業紹介事業の許可・運営に関する質問は、事業所の所在地の都道府県労働局へ問い合わせるように書かれています。

エージェントのほかにも、相談先はあります。

つまずきやすいところ

  • 会社名だけで決める: 人材サービス総合サイトで、許可と実績を先に確かめます
  • 手数料の説明を聞かない: 求職者から原則として手数料を取らない決まりがあります。説明が無ければ聞きます
  • 離職の数だけで判断する: 職種や業界で事情が違うため、参考の1つとして見ます
  • 条件を口頭だけで確かめる: 労働条件は、書面や電子メールで明示されたものを確かめます
  • その場で決める: 答えがあいまいなら持ち帰り、ほかのエージェントの説明と比べます

まとめ

  • 転職エージェントは、国の許可を受けて職業紹介を行う事業者で、手数料は求人を出す会社が払います
  • 相談の前に、目指す仕事・今の学習の状態・相談したいことを決めます
  • 人材サービス総合サイトで、許可・就職者の数・早い離職の数・手数料・返戻金制度を確かめます
  • 面談では、未経験の求人・研修・相談の回数・個人情報の使い方を確かめます
  • 紹介された求人は、書面で明示された労働条件を確かめ、困ったら都道府県労働局に問い合わせます