フリーランスエンジニアの案件の探し方|エージェントと案件サイトの違いと選び方
フリーランスエンジニアが案件を探すときの、エージェントと案件サイトの違いと選び方を解説します。誰と契約するかで確かめる相手が変わること、フリーランス保護新法で決まっていること、契約の前に確かめること、相談先を紹介します。
目次
この記事でわかること
- フリーランスエンジニアが案件を探す手段の種類
- エージェントと案件サイトで、契約の相手がどう変わるか
- フリーランス保護新法で、発注する側に決められていること
- 登録・契約の前に確かめること
- 契約や報酬で困ったときの相談先
フリーランスエンジニアとして案件を探すとき、エージェントに登録するか、案件サイトで探すかで迷う人は多いと思います。この記事では、選ぶ前に知っておきたい違いと、契約の前に確かめることを、法律と公正取引委員会・厚生労働省の案内で確かめた内容としてまとめます。
この記事では、エージェントや案件サイトの会社名は書きません。サービスの内容や契約の形は会社ごとに違い、変わることもあるため、登録する前に各社の公式の案内で確かめてください。独立するかどうかの考え方、紹介・エージェント・直接契約の経路の比較、商流と契約の型は、実務経験者がAI開発で独立するにはで紹介しています。
案件を探す手段の種類
案件を探す手段は、大きく分けると次の4つです。
- 知人や前の職場からの紹介: 相手との信頼が先にあるぶん、話が早く進みます
- エージェント: 担当者が、案件の紹介から条件の調整までを手伝います
- 案件サイト: 公開された募集の中から、自分で選んで応募します
- 直接の営業: 発注しそうな会社に、自分から提案します
どれか1つに決める必要はありません。ただ、手段によって契約の相手が変わり、確かめることも変わります。
誰と契約するかで、確かめる相手が変わる
エージェントと案件サイトの大きな違いは、誰と契約するかです。
- エージェントが仕事を受けて、自分に任せる形: 契約の相手はエージェントです。報酬もエージェントから支払われます
- 発注する会社と直接契約する形: 契約の相手はその会社です。エージェントや案件サイトは、出会いの場を用意する役割です
フリーランス保護新法では、ほかの事業者から業務委託を受けた発注事業者が、その業務をフリーランスに再委託する場合の支払期日の決まりも定められています。エージェントが仕事を受けて任せる形は、この再委託にあたることがあります。
契約の相手によって、取引条件を明示する側や、報酬を支払う側が変わります。登録や応募の前に、どちらの形かを確かめます。
フリーランス保護新法で決まっていること
フリーランスの取引には、2024年11月1日に施行されたフリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)があります。この法律は、フリーランスと発注事業者の間の取引の適正化と、フリーランスの就業環境の整備を目的としています。
この法律の「フリーランス」は、業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないものです。発注事業者がどんな条件を満たすかによって、守る義務が変わります。
| 決まり | 対象の委託 |
|---|---|
| 条件の明示 | すべて |
| 支払期日 | 従業員あり |
| 禁止行為 | 1か月以上 |
| 募集の表示 | 従業員あり |
| 解除の予告 | 6か月以上 |
表の「従業員あり」は、従業員を使用している発注事業者からの委託という意味です。「1か月以上」「6か月以上」は、従業員を使用している発注事業者からの、その期間以上の委託です。
- 条件の明示: 業務委託をした場合、業務の内容・報酬の額・支払期日などの取引条件を、書面等で直ちに明示しなければなりません
- 支払期日: 発注した物品等を受け取った日から数えて60日以内の、できる限り早い日に支払期日を定め、期日内に支払わなければなりません。再委託の場合は、元の発注の支払期日から数えて30日以内です
- 禁止行為: 受領拒否・報酬の減額・返品・買いたたき・購入や利用の強制・不当な経済上の利益の提供要請・不当な給付内容の変更ややり直しの7つです
- 募集の表示: 広告などに募集の情報を載せるときは、虚偽の表示や誤解を与える表示をしてはならず、内容を正確かつ最新に保たなければなりません
- 解除の予告: 6か月以上の業務委託を途中で解除したり、更新しないこととしたりする場合は、原則として30日前までに予告しなければなりません
ほかに、育児や介護と業務を両立できるようにする配慮と、ハラスメントへの対策の体制の整備も決められています。
なお、公正取引委員会のリーフレットによると、契約の名前が「業務委託」でも、実際の働き方が労働者にあたる場合は、この法律ではなく、労働基準法などの労働の法律が適用されます。
登録や契約の前に確かめること
法律の決まりに加えて、エージェントへの登録や契約の前に、次の点を確かめます。
- 契約の相手: エージェントと契約するのか、発注する会社と直接契約するのか
- 契約の型: 稼働時間に対して支払われるのか、成果物の完成に対して支払われるのか
- 報酬の額と支払期日: 書面やメールで明示されているか。支払期日が受け取りの日から60日を超えていないか
- 契約の期間と更新: 何か月の契約で、更新しないときはいつ知らせてもらえるか
- やりとりの記録: 口頭で決めたことは、メールなどで残しておく
登録するかの判断
担当者の説明と、書面で明示された条件が同じかを比べます。条件があいまいなまま作業を始めるように求められたら、その場で決めずに、書面での明示を求めます。複数のエージェントや案件サイトの説明を比べてから決める方法もあります。
案件サイトで募集を見るときのポイント
案件サイトに載っている募集も、従業員を使用している発注事業者が出すものは、募集情報の的確な表示の決まりの対象です。公正取引委員会のリーフレットでは、募集情報を掲載する際には、氏名(名称)・住所・連絡先・業務の内容・業務に従事する場所・報酬の6つの情報の記載が必要とされています。
募集を見るときは、この6つがそろっているかを最初に確かめます。業務の内容や報酬があいまいな募集は、応募の前に問い合わせて確かめます。
会社員の副業で受ける場合
公正取引委員会のリーフレットでは、会社に雇用されている人が副業で行う事業について、事業者として他の事業者から業務委託を受けている場合は、この法律の「フリーランス」にあたると説明されています。
副業で案件を受ける前には、勤め先の就業規則も確かめます。順番と確かめ方は、会社員がAI副業を始める前に確認することにまとめています。
正社員としての転職を考えている場合は、転職エージェントの選び方を未経験からITエンジニアへの転職エージェントの選び方で紹介しています。
困ったときの相談先
契約や報酬、ハラスメントなどで困ったときは、「フリーランス・トラブル110番」に相談できます。厚生労働省の委託事業として第二東京弁護士会が運営しており、弁護士に無料で相談できます。匿名での相談もできます。
相談の前に、何についての相談か、起こったことの時系列、聞きたいこと、契約書などの資料をまとめておくと、相談が進めやすくなります。
公正取引委員会のリーフレットでは、法律の義務のうち、取引条件の明示・支払期日・禁止行為は公正取引委員会・中小企業庁に、募集情報・育児介護等への配慮・ハラスメント対策・中途解除の予告は厚生労働省(都道府県労働局)に問い合わせるように書かれています。
つまずきやすいところ
- 会社名だけで登録先を決める: 契約の相手と契約の型を、先に確かめます
- 口頭の条件だけで作業を始める: 取引条件は、書面やメールで明示されたものを確かめます
- 支払期日を確かめない: 受け取りの日から60日以内に定める決まりがあります
- 募集の6つの情報を見ない: 業務の内容や報酬があいまいな募集は、応募の前に問い合わせます
- 一人で抱え込む: 困ったら、フリーランス・トラブル110番に相談します
まとめ
- 案件を探す手段は、紹介・エージェント・案件サイト・直接の営業に分けられます
- エージェントと案件サイトの大きな違いは、誰と契約するかです
- フリーランス保護新法では、取引条件の明示や60日以内の支払期日などが決められています
- 登録や契約の前に、契約の相手・契約の型・報酬と支払期日・契約の期間を確かめます
- 困ったときは、フリーランス・トラブル110番で弁護士に無料で相談できます
よくある質問
エージェントと案件サイトは、何が違いますか?
大きな違いは、誰と契約するかです。エージェントが仕事を受けて自分に任せる形なら契約の相手はエージェントで、発注する会社と直接契約する形なら、契約の相手はその会社です。登録の前に、どちらの形かを確かめます。
報酬の支払いは、いつまでにされる決まりですか?
フリーランス保護新法では、従業員を使用する発注事業者は、給付を受け取った日から数えて60日以内のできる限り早い日に支払期日を定めなければならないとされています。再委託の場合は、元の発注の支払期日から30日以内です。
会社員の副業でも、フリーランス保護新法の対象になりますか?
公正取引委員会のリーフレットでは、会社に雇用されている人が副業で行う事業について、事業者として業務委託を受けている場合は、この法律の「フリーランス」にあたると説明されています。
契約や報酬のトラブルは、どこに相談できますか?
厚生労働省の委託事業として第二東京弁護士会が運営する「フリーランス・トラブル110番」で、弁護士に無料で相談できます。匿名での相談もできます。
この記事で、おすすめのエージェントや案件サイトを紹介していますか?
紹介していません。サービスの内容や契約の形は会社ごとに違い、変わることもあるため、登録する前に各社の公式の案内と契約書で確かめてください。