会社員がAI副業を始める前に確認すること|就業規則・競業・時間・税金
会社員がAI副業を始める前に確認したいことを整理しました。就業規則の見方、本業と競合しない範囲の決め方、会社の資産を使わない線引き、時間の作り方、申告が必要になる目安を解説します。
目次
この記事でわかること
- 副業を始める前に、最初に確認すべきこととその順番
- 本業と競合しない範囲の決め方
- 会社の資産と自分の資産の線引き(AI副業で特に迷いやすい点)
- 時間をどう確保するか
- 申告が必要になる目安と、見落とされがちな住民税の扱い
何から始めるか・どんな仕事があるかはAI副業の始め方完全ガイドで扱っています。この記事は、会社員という立場ならではの確認事項だけに絞ります。
順番を間違えない:最初は就業規則
やりたいことを決めるより先に、ここを確認してください。後から分かると、進めたものが無駄になります。
見るべきは3点
- 副業が禁止か、許可制か、届出制か
- 競業に関する定め(同業の仕事を受けてよいか)
- 勤務時間・健康管理に関する定め(深夜作業の扱いなど)
多くの場合、就業規則そのものか、社内ポータルの服務規程に書かれています。見つからない場合は、人事や総務に確認するのが確実です。
許可制なら、先に申請する
「聞くと止められそうだから黙っておく」という判断は、後で立場を悪くします。申請して認められた状態で始める方が、結果的に自由に動けます。 申請時には、どんな仕事を・どのくらいの時間で・どこから受けるのかを説明できるようにしておくと通りやすくなります。
禁止されている場合
隠して始めることはおすすめしません。得られる収入より、失うものの方が大きくなります。
その場合でも、学習や個人的な制作として力をつけておくことはできます。実績として見せられるものを作っておけば、規則が変わったときや転職後にすぐ動けます。
本業と競合しない範囲を決める
競業の判断は、会社によって線引きが異なります。迷いやすいのは次のような場合です。
- 本業と同じ業界の会社から仕事を受ける
- 本業の顧客・取引先から直接依頼される
- 本業と同じ種類のサービスを個人として提供する
特に2つ目は、たとえ相手から声をかけられたとしても、トラブルになりやすいところです。判断に迷ったら受ける前に確認するのが安全です。
会社の資産と自分の資産を分ける
AI副業で特に迷いやすいのがここです。線引きはシンプルに考えられます。
使ってよい(自分のもの)
- 自分の頭の中にあるスキル・経験
- 自分で契約した機材・回線・AIサービス
- 自分の時間
使ってはいけない(会社のもの)
- 業務用のパソコン・スマートフォン・回線
- 会社が契約しているAIサービスやソフトのアカウント
- 業務で知った顧客情報・社内資料・数値
- 業務で作成した成果物やデータ
スキルは自分のものですが、情報と成果物は会社のものである場合が多い——この区別でほとんどの判断がつきます。会社のAI契約を個人の仕事に使うのは、ソフトを持ち出すのと同じ扱いになります。
なお、受けた仕事のデータを外部のAIサービスへ入力してよいかは、副業先との間でも確認が必要です。この考え方はAIで議事録を作る方法でも扱っています。
時間をどう確保するか
本業がある以上、使える時間には上限があります。無理な計画は最初の繁忙期で崩れます。
- 週に何時間使えるかを先に決める(そこから受ける量を決める。逆にしない)
- 繁忙期を織り込む(本業が忙しい月は受けない、と決めておく)
- 納期に余裕を持つ(本業の残業で作業できない日が必ず出ます)
受ける量を先に決めてしまうと、本業か副業のどちらかが崩れます。AI副業は本当に稼げる?でも書いたとおり、続くことが最も効くため、最初から埋めすぎないことが結果的に近道です。
お金の話:申告が必要になる目安
ここは制度の話なので、枠組みだけを示します。 個別の判断は必ず公的な窓口で確認してください。
所得税
給与以外の所得が年間20万円を超える場合、所得税の確定申告が必要とされています(2026年9月確認)。判定は「収入」ではなく「所得」=収入から必要経費を引いた額で行います。
住民税は別の扱い
見落とされやすいのがこちらです。所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になります。 住民税には、所得税のような20万円の扱いがありません。
確定申告をした場合は情報が市区町村へ連携されるため住民税の申告は不要ですが、確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村での手続きが必要です。
確認先
制度は改正されることがあり、働き方(業務委託か、給与として受け取るか)でも扱いが変わります。国税庁の案内・税務署・お住まいの市区町村、必要に応じて税理士に確認してください。この記事の記載は2026年9月時点で確認した一般的な枠組みであり、個別の判断を保証するものではありません。
経費と記録
金額の大小にかかわらず、収入と支出の記録は最初からつけておいてください。後からまとめようとすると、何の支払いだったか分からなくなります。領収書と、いつ・誰から・いくら受け取ったかを残しておくだけでも十分違います。
本業のスキルをどこまで使ってよいか
「本業で培ったスキルを活かす」は副業の王道ですが、スキルと情報は分けて考えてください。
- 使える: 資料作成の型、業務の進め方、ツールの操作、分野の知識
- 使えない: 実際の顧客名・社内数値・業務で作った資料そのもの
実績を示すときも同様です。守秘義務の範囲内で、何を・どの規模で・どう解決したかを自分の言葉で説明する形にしてください。サンプルが必要な場合は、AIスキルをサービスとして売る手順で書いたとおり、架空の題材で作り直すのが安全です。
本業に影響が出はじめたときの対処
準備をしても、想定より負荷がかかることはあります。次のような状態は、続ける前に一度止まって調整すべき合図です。
- 本業の勤務中に副業のことを考えている、連絡を返している
- 睡眠時間を削って作業している状態が常態化している
- 納期に追われて、本業の残業を断るようになった
いずれも先に崩れるのは本業の方です。調整の順番は決めておいてください。
- 新しい依頼を受けるのを一旦止める(進行中のものは終わらせる)
- 納期を相手と調整する(黙って遅れるより、早めに伝える方が信頼は保てます)
- 受ける量の上限を下げて再開する
副業を完全にやめる前に、量を減らして続けるという選択肢があることを覚えておくと、極端な判断をせずに済みます。
始める前のチェックリスト
- [ ] 就業規則を確認した(禁止/許可制/届出制のどれか)
- [ ] 許可制なら申請した
- [ ] 競業にあたらない範囲を決めた
- [ ] 副業用の環境(端末・回線・AIサービス)を自分で用意した
- [ ] 週に使える時間を決めた
- [ ] 収支を記録する方法を決めた
- [ ] 申告の要否について確認先を把握した
まとめ
- 最初に就業規則。やりたいことを決めるより先に確認する
- 禁止されているなら隠さない。学習や制作で力をつける進め方がある
- スキルは自分のもの、情報と成果物は会社のもの
- 会社の端末・回線・AI契約は使わない
- 使える時間を先に決めてから、受ける量を決める
- 所得税と住民税は別の扱い。20万円以下でも住民税の手続きが必要になる
制度と規則の確認は面倒ですが、先にやっておくと後の判断がすべて速くなります。将来的に独立まで視野に入れる場合は、実務経験者がAI開発で独立するにはもあわせてご覧ください。
よくある質問
副業が就業規則で禁止されている場合はどうすればいいですか?
隠して始めることはおすすめしません。発覚した場合、収入よりも失うものが大きくなります。まずは許可制かどうか、申請すれば認められる余地があるかを確認してください。認められない場合は、仕事として受けるのではなく、学習や個人的な制作として力をつけておくという進め方もあります。
確定申告はいくらから必要ですか?
給与以外の所得が年間20万円を超える場合に所得税の確定申告が必要とされています(2026年9月確認)。ただし判定は所得(収入から必要経費を引いた額)で行い、働き方によって扱いも変わります。制度は改正されることがあるため、国税庁の案内や税務署、必要に応じて専門家に確認してください。
20万円以下なら何もしなくてよいのですか?
いいえ。所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は別途必要になります(住民税にはこの20万円の扱いがありません)。確定申告をした場合は情報が市区町村へ連携されるため住民税の申告は不要ですが、申告しなかった場合はお住まいの市区町村での手続きが必要です。詳細は市区町村の窓口で確認してください。
本業で身につけたスキルを副業で使ってもよいですか?
スキルそのものを使うことと、業務で知った情報や会社の資産を使うことは別です。顧客情報・社内資料・業務で作成したデータや成果物を持ち出すと、守秘義務や権利の問題になります。スキルは自分のものですが、情報と成果物は会社のものである場合が多い、と考えてください。
会社のパソコンやAIの契約を副業に使ってもよいですか?
使わないでください。業務用の端末・回線・ライセンス・アカウントは会社の資産で、多くの場合、業務目的以外の利用が認められていません。AIサービスの法人契約を個人の副業に使う行為も同様です。副業用の環境は自分で用意してください。