この記事でわかること

  • AIに任せてよいメールと、自分で書くべきメールの線引き
  • 頼むときに渡しておく4つの情報
  • AIが書いた文章が不自然になる理由と直し方
  • 送る前に必ず確認すること
  • 相手の情報をどこまで渡してよいか

ChatGPTを仕事で使う全体像はChatGPTを仕事で使う方法で扱っています。この記事は、その中でも最も使う機会が多いメール・文章作成に絞ります。

まず「任せない場面」を決める

プロンプトを覚えるより先に、ここを決めておく方が失敗しません。

任せてよい場面

  • 定型的な連絡(日程調整、資料送付、受領の連絡)
  • 長い文章を短くまとめる
  • 書いた文章の読みにくいところを直す
  • 同じ内容を相手に合わせて言い換える

自分で書くべき場面

  • 謝罪・お詫び(何が起きたかを把握している人が書くべきです)
  • 交渉・条件の提示(相手との力関係や経緯が文面を左右します)
  • 断る連絡(理由の伝え方で関係が変わります)
  • 評価・指摘を伝える(社内の人間関係に影響します)

線引きの基準はシンプルで、関係性が結果を左右する場面はAIに任せないということです。そうした場面でも、「この言い方はきつくないか」と相談するのは有効です。任せるのと相談するのは別物として扱ってください。

頼むときに渡す4つの情報

「お礼のメールを書いて」だけでは、当たり障りのない文章しか返ってきません。次の4つを渡すと、手直しがほとんど要らなくなります。

渡す情報 例
相手 社外の取引先/社内の上司/初めて連絡する相手
目的 日程を決めたい/資料を送りたい/確認をお願いしたい
前提 これまでの経緯、決まっていること、相手が知っていること
長さ 3行程度/簡潔に/丁寧に

特に前提が効きます。「先週の打ち合わせで見積もりを送ると伝えている」という一文があるだけで、文面のつながり方が変わります。

実際にどう変わるか

同じ用件でも、渡す情報の量で結果が変わります。

渡す情報が足りない頼み方

打ち合わせのお礼メールを書いて

これだと、誰に宛てた何の打ち合わせか分からないため、どこにでも出せる一般的な文面が返ってきます。結局、自分で全部書き直すことになります。

4つを渡した頼み方

社外の取引先へ送るお礼メールの下書きをお願いします。 昨日、新しい管理システムの導入について打ち合わせをしました。 次回までにこちらが見積もりを送ることになっています。 3〜4行程度で、簡潔にお願いします。

相手・目的・前提・長さが入っているため、次回の約束まで踏まえた文面が返ってきます。手直しは固有名詞を入れる程度で済みます。

書き足す手間はかかりますが、書き直す手間より小さいというのがポイントです。

催促・リマインドはAIが役に立つ

返信が来ない、期限が過ぎている——こうした連絡は、書き方次第で角が立ちます。内容は単純なのに、言い回しに悩んで時間を使う典型的な場面です。

ここはAIが向いています。次のように、状況と避けたいことを伝えると扱いやすくなります。

先週お願いした資料がまだ届いていません。 催促の連絡ですが、相手を責める印象にならないようにしたいです。 期限が今週金曜であることは伝えたいです。

ただし、何度も催促している場合や、相手に非がある場合は、そのまま送らず一度読み直してください。やわらかくしすぎて、期限が伝わらない文面になることがあります。

AIが書いた文章が不自然になる典型

敬語が過剰になる

関係性が分からないため、丁寧な側に寄せてきます。「社内の上司へ送る、簡潔な文面で」のように関係と長さを指定すると落ち着きます。

当たり障りがなく、何も伝わらない

最もよくある失敗です。原因は前提を渡していないこと。何を決めたいのか、相手に何をしてほしいのかを明示してください。

書いていないことが混ざる

前提が足りないと、それらしい内容を補ってきます。メールでは事実と異なることを相手に伝えてしまうため、これが最も危険です。「書いていないことは補わないで」と伝えたうえで、出てきた文面を必ず確認してください。

この性質は議事録でも同じ問題になります(AIで議事録を作る方法)。

前置きが長い

「お世話になっております」から本題まで遠い文章が出てきたら、「結論を先に書いて」と伝えると整理されます。

送る前に必ず確認する

文章として整っていることと、内容が正しいことは別です。次の5点は毎回確認してください。

  1. 宛名(会社名・部署・氏名の表記)
  2. 日付と時刻(曜日が合っているか)
  3. 数値(金額・数量・期限)
  4. 添付の有無(本文で触れたファイルが付いているか)
  5. 事実関係(実際に決まっていないことを決まったように書いていないか)

1から4は誤ると相手に直接影響します。5は特に、前述の「補ってくる」性質が出やすい部分です。

相手の情報をどこまで渡してよいか

メールには、社名・担当者名・金額・契約条件といった情報が自然に含まれます。まず勤務先のルールを確認してください。

そのうえで、渡さずに相談する方法があります。

  • 固有名詞を伏せる(「A社の田中様」→「取引先の担当者」)
  • 条件を一般化する(具体的な金額を伏せて「見積もりの金額」とする)
  • 自分で骨子を書き、整え方だけ頼む

多くの場合、文面を作るのに実際の固有名詞は必要ありません。出てきた文面に自分で名前と数字を入れる方が、確認も兼ねられて安全です。

英文メールで使う場合

下書きを作る用途では有効ですが、注意点があります。

  • 丁寧さの度合いが相手や業界で異なる(訳せていても場にそぐわないことがあります)
  • 日本語をそのまま訳すと回りくどくなる(英語では結論を先に置く方が伝わります)
  • 重要な相手へ送る場合は、英語が分かる人に確認してもらう

翻訳そのものの扱い方——読めない言語の訳文をどう確かめるか、固有名詞や数値をどう照合するか——はAIで翻訳するときの判断で詳しく扱っています。

使い回せる形にしておく

同じ種類のメールを繰り返し書く場合、毎回ゼロから頼むのは非効率です。うまくいった頼み方を残しておいてください。

  • 相手・目的・前提・長さを指定した頼み方そのものを保存する
  • 完成した文面をひな形として残し、次回は差分だけ直す

資料作成でも同じ考え方が使えます(AIで仕事のスライドを作る方法)。

まとめ

  • 関係性が結果を左右する場面(謝罪・交渉・断り)はAIに任せない。相談にとどめる
  • 頼むときは相手・目的・前提・長さの4つを渡す
  • 不自然さの原因はたいてい前提不足。敬語の過剰も同じ
  • 宛名・日付・数値・添付・事実関係は送る前に必ず確認する
  • 固有名詞や金額は渡さずに相談できる

AIは文面を整えるのが得意ですが、何を伝えるべきかを決めるのは書く人の仕事です。そこを手放さなければ、メールにかかる時間はかなり短くできます。