この記事でわかること

  • AIが向く調べ物と、向かない調べ物の違い
  • 検索との使い分け
  • 広く聞いてから絞る、という進め方
  • 専門外の分野を調べるときのコツ
  • 調べている内容そのものが外部に残るという見落としがちな注意点

ChatGPTの基本的な機能はChatGPTとはで、出てきた内容の確認方法はAIの出力をどう確認するかで扱っています。この記事は、その間にある「調べ物をどう進めるか」を扱います。

答えを求めず、取っかかりを得る

最初に方針を決めておきます。AIに調べ物の「答え」を出させようとすると、うまくいきません。

AIは正しさを保証する仕組みを持っていないため、答えとして受け取ると誤りをそのまま使うことになります。一方で、何を調べればよいか分からない状態から抜け出すのは非常に速い。

そこで、次のように役割を分けます。

  • AI: 全体像をつかむ、使われている言葉を知る、論点を洗い出す
  • 検索・一次情報: 事実を確かめる、数値を取る、根拠として使う

この分担にすると、AIの弱点を踏まずに速さだけを取り込めます。

向く調べ物・向かない調べ物

向く 向かない
言葉の意味・分野の全体像 最新の数値・統計
考えるべき論点の洗い出し 公式の制度・規約の内容
自分の理解が合っているかの確認 特定企業の現在の状況
難しい文章をかみ砕いて読む 根拠として引用する情報

境目はシンプルで、「そのまま使うかどうか」です。理解のために使うなら向いていて、資料や判断の根拠にするなら向いていません。

「最新かどうか」は特に注意

サービスや設定によって、最新の情報を参照できる場合があります。ただし、参照できることと、それが最新である保証は別です。時期が重要な調べ物では、必ず公式の発表日を自分で確認してください。

進め方:広く聞いてから絞る

具体的な手順にすると、次の流れが安定します。

  1. 全体像を聞く「◯◯について、検討すべき論点を挙げてください」
  2. 言葉を得る「この分野でよく使われる用語を教えてください」
  3. その言葉で検索する(ここで一次情報に当たります)
  4. 読んだ内容の理解を確認する「この資料はこう読めますが、合っていますか」
  5. 使う情報だけを一次情報から取る

3で検索に切り替えるのが要点です。AIに深掘りを続けさせると、それらしい細部が足されていきます。用語が手に入った時点で、検索の方が速く確実になります。

4の使い方が効く

見落とされがちですが、自分が読んだ内容が合っているかを確認する使い方は精度が高く、安全でもあります。原典が手元にあるため、誤りにも気づけます。難しい契約書や仕様書を読むときに特に有効です。

聞き方で結果が変わる

同じことを調べるのでも、聞き方で返ってくるものが変わります。調べ物では特に、範囲と立場を指定すると実用的になります。

  • 範囲を区切る「日本国内の」「中小企業の場合」「2020年代に入ってからの傾向として」
  • 立場を指定する「導入する側が確認すべき点」「発注側から見た注意点」
  • 形式を指定する「箇条書きで」「対立する見方も併記して」
  • 知らないことは知らないと言わせる「確実でない部分は、その旨を書いてください」

特に「対立する見方も併記して」は効きます。ひとつの結論だけが返ってくると、それが定説なのか一つの意見なのかが分かりません。異なる見方を並べさせると、何が論点なのかが見えてきます。

一度で終わらせない

最初の回答をそのまま受け取らず、「他にはありますか」「見落としている観点は」と続けて聞いてください。最初の回答には、よく知られた内容が集まりやすく、自分が本当に知りたかった周辺は2回目以降に出てくることがあります。

専門外の分野を調べるとき

結論を求めないでください。 専門外では、返ってきた内容が妥当かどうかを判断できません。

  • 用語を教えてもらうところから始める
  • 用語が分かったら検索で一次情報へ
  • 判断が必要な場面では、その分野が分かる人に確認する

この順で進めれば、専門外でも調べ物を前に進められます。逆に、判断まで任せてしまうと、誤りに気づけないまま人に渡すことになります。

調べている内容そのものが外部に残る

見落とされやすい論点です。調べ物では質問の中に検討中の情報が入ります。

  • 「A社との提携について、検討すべきリスクは」
  • 「この特許に抵触するか」
  • 「◯◯部門の人員削減で必要な手続きは」

これらは何を検討しているかという情報であり、成果物より機微な場合があります。外部のサービスへ渡してよいかは、勤務先のルールを確認してください(社内の生成AI利用ルールをどう作るか)。

渡さずに調べる方法もあります。

  • 固有名詞を伏せる(「A社」→「取引先」)
  • 一般化して聞く(「業務提携で一般的に検討される論点は」)
  • 具体的な判断は社内の担当部署に聞く

一般化して聞いても、論点の洗い出しという目的はほぼ達成できます。

時間をかけすぎない

調べ物は、やろうと思えばいくらでも深掘りできてしまいます。 AIを使うと問いを立てるのが速くなるぶん、かえって広がりすぎることがあります。

始める前に決めておくと止まりやすくなります。

  • 何が分かれば終わりかを一文で書く(「提携で確認すべき論点が3つ挙がればよい」)
  • かける時間の上限を決める
  • 誰に渡すものかを決める(自分用のメモか、会議資料か)

特に1つ目です。終わりの条件がないと、知らなかったことが次々見つかる状態が続き、調べること自体が目的になります。

調べた結果をどう残すか

調べ直しは想像以上によく起きます。数週間後の自分が同じことを調べ直さないように、 出どころとセットで残してください。

  • 一次情報のURLと確認日を控える(AIの回答ではなく、確かめた先を残します)
  • AIに聞いた内容はメモ扱いにする(そのまま資料に貼らない)
  • 数値は必ず出どころを併記する

「AIがそう言っていた」は根拠になりません。根拠として使えるのは、自分が確かめた一次情報だけです。

まとめ

  • AIには答えではなく取っかかりを求める
  • 理解のために使うなら向く、根拠にするなら向かない
  • 進め方は全体像→用語→検索→一次情報。用語が得られたら検索に切り替える
  • 自分の理解が合っているかの確認に使うと精度が高い
  • 専門外では結論を求めない
  • 何を調べているかも外部に渡る。固有名詞を伏せる、一般化して聞く
  • 残すのは一次情報のURLと確認日

調べ物は、AIで速くなる部分と、速くしてはいけない部分がはっきり分かれます。入口を速く、出口は自分で——この形にしておけば、時間を短縮しながら誤りも避けられます。